暗号通貨が誕生して10年以上が経ちますが、投資市場の圧倒的な反応に比べて、暗号通貨は日常的に使われるほど普及はしていません。 その理由は、翌日には仮想通貨の価値が数%上下することもあり、とてもボラティリティの高いことがあげられます。その結果、価値がより安定した仮想通貨として、ステーブルコイン (Stablecoin) が登場しました。
ステーブルコインは本当に価値が安定しているのでしょうか?最近は高金利でステーブルコインをレンディングして、資産を増やせるサービスが出て来ていますが、そもそもステーブルコインは信頼できるのでしょうか? ここでは、ステーブルコインの原理と特徴について説明します。
ステーブルコインとは何ですか?
ステーブルコインとは、その名の通り、安定した (Stable) 価値を持つ暗号通貨のことです。より安定した資産にペグされることで、その価値を安定させています。この原理は、私たちが日常的に使っている各国が発行する法定通貨と同じで、政府が通貨を発行し、それに見合う金の準備し、それをサポートすることで、為替レートを維持しています。
現在よく見受けられるステーブルコインは、フィアット・ステーブルコイン、クリプト・ステーブルコインと、コモディティ・ステーブルコインがあります。
ステーブルコインの登場により、暗号通貨への投資をより迅速に、より低い手数料で行うことが可能になりました。そのため、ステーブルコインは暗号通貨市場における基軸通貨とされています。
ステーブルコインの種類
フィアット・ステーブルコイン
実際の法定通貨に連動または担保さセルため、この仮想通貨の発行者は一定量の法定通貨を保管し、その量に対応した暗号通貨を発行します。最も一般的なのは、米ドルを担保資産とするステーブルコインで、1対1の比率を採用して発行しています。例えば100万枚の仮想通貨を発行する場合は、発行者の銀行口座には100万米ドルを預け入れ、発行するステーブルコインの価値を担保することになります。
この種類のステーブルコインの例としては、
- USDT (USD Tether)
- TUSD(True USD)
- PAX(Paxos Standard)
- USDC(USD Coin)
- GUSD(Gemini Dollar)
などがあります。
クリプト・ステーブルコイン
フィアット・ステーブルコインと同じ原理ですが、他の暗号通貨とペッグまたは担保を設定します。
スマートコントラクトがその発行を担い、暗号通貨をスマートコントラクトにロックし、コントラクトが比率に応じたステーブルコインを発行します。担保となる暗号通貨には大幅な価格下落のリスクがあるため、1.5対1や2対1など1対1以上の比率とし、過剰担保によってリスク軽減を図ります。また、ステーブルコインの価値を安定させるためにコントラクトの仕組みを用いています。
この方式で発行されるステーブルコインには、
- BitUSD(Bitshares)
- DAI(MakerDAO)
などがあります。
コモディティ・ステーブルコイン
コモディティ・ステーブルコインは、コインの価値の安定性を維持するために、他の価値あるコモディティとペッグまたは担保を設定したステーブルコインです。
最も一般的なコモディティは金ですが、銀や銅などの他の貴金属、原油や天然ガスなどのエネルギー源、トウモロコシや大豆、小麦などの農産物である場合もあります。価値あるコモディティを担保にすることで、コモディティ価格の上昇に伴い、コインの価値が上がる可能性があります。
この種類のステーブルコインの例としては、
- PAXG
- DGX
などがあります。
ステーブル・コインに投資する際の注意点
高い金利に惑わされない
現在、いくつかの暗号通貨融資プラットフォームにおいて、暗号通貨の預け入れに対して、高い金利を提供しています。USDCやUSDTなど一部のステーブル・コインを対象に、10%前後の金利を受け取ることができます。安定した価値と高い利息収入が得られる、ステーブル・コインへの投資は悪くない選択です。
ただし、このようなレンディング・プラットフォームからの出金については、1日の出金限度額などの制約があるので注意が必要です。また、出金はすぐに出来るわけではなく、1~2営業日かかることもあり、急にお金が必要になったときに、簡単に引き出せないこともあり得ます。
また、暗号通貨融資プラットフォームに預けられたステーブル・コインは預金保護制度で保護されません。
もし、融資プラットフォームを運営する会社が閉鎖された場合、預け入れたステーブル・コインを取り戻せなくなる可能性があり、それなりのリスクがあります。
やみくもに投資を始めない
ステーブル・コインは資産にペッグされたり、担保として差し入れられたりして価値を保証されています。しかし、発行会社の中には財務内容を公開しておらず、担保となる資産の実態が公開されていないものもあり、信用リスクがあります。
また、法定通貨にペグされたステーブル・コインの場合、インフレや通貨切り下げ等の影響も受けるので、ステーブル・コインへの投資を始める前に、そういったリスクを知っておくことが重要です。