金融市場のパフォーマンスは国内と世界経済の影響を受けます。経済は様々な経済的要素や指標を反映するものであり、金融市場について評価するには、これらの要素や指標をよく理解することが肝要です。
金融市場に影響を与える経済要素
- 国内総生産 (GDP)
- 経済サイクル
- 財政政策と金融政策
- 金利
- 為替レート
- インフレーション
- 失業率
- グローバル化と技術進歩
国内総生産 (GDP)
経済パフォーマンスの根本的な測定は国内総生産で行います。国内総生産は、期間内に国内で生産された最終材とサービスの市場価値です。国内総生産の算出には、生産面、収入面、支出面から計算する3つの方法があります。
支出から算出する方法がもっとも一般的です。国内で1年に生産された最終材とサービスが全て、家計、企業、政府と海外により消費されると考えます。これら4つのセクターは、最終材とサービスを異なる4つの支出タイプで消費します。それは、家計による消費、企業による投資、政府による購入と純輸出です。
経済サイクル
年月が経つにつれ、経済産出は以前よりも早いスピードで増加することがあります。実質国内総生産(GDP)により計測され、国家の経済パフォーマンスは歴史を通して、循環して変動しがちです。これは経済サイクルとしてしられており、一般的に以下の4つの時期に分かれます。
拡大
実質GDPが急速に増加し、利益と賃金が増え始め、失業率が低下します。また、物価高も招きます。
景気の山:経済拡大がピークまでおきます。実質GDPが最大となり、経済にとって、インフレーションが脅威となります。
後退
ピークを迎えた後の経済収縮期です。経済後退が長引けば、1930年代の大恐慌のような不景気となります。
景気の谷
雇用と利益が経済サイクルの谷で最小となり、その後に新しい経済サイクルがやって来ます。
財政政策と金融政策
様々な政策を実行することにより、政府は経済をある程度安定化させることが出来る。正しい政策の組合せは経済が不景気を脱したり、過熱気味になるのを防いだりすることも出来ます。財政政策とは政府の予算をいくら使い、税金をどれくらい集めるのかに関する判断を示します。財政政策の裏にある考えはストレートで、政府がGDPを構成する財やサービスの購入を増やせば、直接的にGDPを押し上げる、というものです。さらに、政府セクターによる支出が増えれば、家計収入が増え
民間セクターにおける更なる消費を促すことが出来る。
金融政策は、経済における資金供給をに影響を与え、市場金利に影響させる政府による動きです。景気後退期では、中央銀行は資金供給を増やすことで利率を引き下げ、それにより投資を刺激し、GDPに刺激を与えます。一方、経済の過熱を避ける為には、中央銀行は利率を引き上げ、投資を抑制し、GDPも抑制することを行います。金融政策は必要準備金の調整や公定歩合、外国為替市場への介入などの公開市場を通して行うことが出来ます。
金利
金利は本来、現金の需要と供給によって決められる現金を保有する価格です。市場金利が高くなると、人々は預金や債券といった現金を代替する資産に移り、資金を保有する費用が大きくなります。金融政策をコントロールしている国においては、資金供給は中央銀行によりコントロールされています。しかしながら、香港ドルが為替ペッグ制で運営されています。資金の流出入の為に調整するのは為替レートよりも国内の利率です。結果として、香港は米ドルとの安定した為替レートと引き換えに、金融政策を実質的に諦めているのです。
為替レート
2つの通貨間の為替レートは、一方の通貨が他方の通貨に交換出来る量です。変動為替相場制では、為替レートは公式に固定されておらず、通貨に対する需要と供給によって変動します。最近では、もっとも発展した国々では変動為替相場制を導入しています。しかし、固定為替相場制により、他通貨に対して固定されている通貨もあります。為替ペッグ制となっている香港がその良い一例です。
インフレーション
インフレーションは、年毎の物価の変化をパーセントテージで測るものです。インフレーションが高ければ、購買力の低下をもたらします。物価は、消費者物価指数といった価格指数などで計測される時系列的にある時点における全体の価格水準となっています。
さらに、特定の財の価格高騰が必ずしもインフレーションにつながる、という訳でもありません。通貨主義経済学では、もし、通貨供給が一定であれば、特定の財の価格高騰は他の財の消費に用いる資金量を減らし、他の財の価格が下がる結果となります。つまりは、特定の財の価格上昇は他の財の価格低下で相殺されます。相対的な価格変化をもたらすだけで、全体的な価格水準に影響を与えません。
インフレーションの反対がデフレーションであり、通常、経済サイクルの景気後退時に現れます。
失業率
失業率は、失業者数を労働力人口で割ったパーセントで表されます。それにはまず、被雇用者と失業者の総数で構成される労働者人口を把握する必要があります。香港人口統計局によると、被雇用者は15歳以上で有償の仕事に就いている者とされています。一方、失業者は15歳以上で、有償の仕事に就いておらず、いつでも就業できる状態にあり、求職活動をしていた者とされています。
グローバル化と技術進歩
グローバル金融市場はコンピューターネットワークといった技術進歩の助けを得て、統合されています。国際的な市場は世界中からアクセスでき、投資市場や資産は、国内の投資家に制限されることなく、全ての海外投資家にも門戸が開かれています。資金の移動もまた直ぐに出来、金融取引の決済をさらに促進しています。これらの発展は、金融市場での取引量を増加させていくことでしょう。
インターネットもまた金融市場の透明性を大きく高めました。従来の金融ニュース提供会社であるロイターやブルームバーグの他に、インターネットでアクセス出来る大量のグローバル市場に関する最新ニュースや情報があります。
このように、国際的な資金の流動性は、良い点と悪い点があります。経済成長を助けますが、投機的であったり、変動の大きい資本の流れもあります。結果として、国内経済がホットマネーの攻勢にさらされることになるのです。