ビットコインやイーサリアムなどの暗号通貨は、この10年間で保有者の資産を大きく増加させ、現在も多くの人が将来の価値上昇を期待して保有しています。しかしながら、暗号通貨には資産保護に関する法整備が不十分となっています。
もし、暗号通貨を大量に保有する場合、どのように安全に保管すればよいのでしょうか。また、デジタル資産を次世代に残すためには、どのように保護していけば、よいのでしょうか。
あなたの資産の大部分が暗号通貨である場合、その保管方法について考え、学んでおくことは、とても重要です。
仮想通貨取引所に暗号資産を預けない
暗号通貨は匿名性の高い無記名の資産であり、貴金属や収集品のように、保有者が所有者となります。暗号通貨アドレスの秘密鍵を持つ人は、いつでも消費目的でその暗号通貨を使用することができます。
ほとんどの仮想通貨への投資初心者は、保有する暗号通貨を取引所で保管していることでしょう。その理由は、取引所での保管は、マーケットでの取引が行いやすいからです。
また、秘密鍵を保管するのは容易ではなく、バックアップを紛失したり、それを保管する機器が壊れたりすると、何も残りません。そのため、新しく仮想通貨に参入した人とっては、取引所での保管により一定の安心感が得られるでしょう。
しかし、大量の暗号通貨を所有し、それを取引所に預けようとする場合、取引所自体が一定の信頼性と安全性を備えている必要があります。取引所は大量の暗号通貨を保有しているため、ハッカーに狙われやすいターゲットです。もし、取引所にセキュリティの問題があった場合、投資家はそれに伴って多額の資産を失う可能性があります。
これは単なる注意喚起と受け止めるだけではいけません。2014年に、当時最大のビットコイン取引所であった MTGOX マウントゴックスがハッキングされ、85万ビットコインが盗まれ、その後、同取引所は破産を申請し、投資家は大きな損失を負うことになりました。時折、取引所が内部や外部の攻撃によって損失を被るというニュースが流れてきます。ハッキングのほかに、差し押さえや倒産のリスクもあるため、暗号通貨を大量に保有する人は、そのすべてを取引所に保管することは、避ける方が良いでしょう。
不要なリスクの低減
ビットコインや他の暗号通貨を大量に保有する投資家にとっては、投資に対するリターンを評価した上で、リスクに見合う価値があるかどうかを計算することになります。 特に、安値圏でビットコインを保有し始め、すでに資産を数倍、数十倍に上昇している場合、数％の利息を得るためだけに、100％の損失を被る可能性があるリスクを冒すでしょうか。
ビットコインやその他の仮想通貨の将来価値に見込みがあると考える場合、あるいは他の投資商品のヘッジツールとして、仮想通貨を保有する場合にのみ、期待するリターンが実現されます。前提である仮想通貨の将来的な見込み以上に、投機的で不必要なリスクをとる必要はありません。
シンプルで複雑すぎないセキュリティ管理
暗号通貨の潜在的な脅威をすべて理解することで、ほとんどの人は慎重に設計されたセキュリティプランを採用するでしょう。しかし、この考え方も実は罠なのです。複雑さは時にセキュリティの敵になることがあります。
例えば、暗号通貨の秘密鍵を10分割して異なる場所に保管すると、盗難のリスクは減ります。その一方、秘密鍵の一部を紛失するリスクも高まることにもなります。このように、盗難のリスクは軽減されますが、秘密鍵の一部を紛失するリスクも高まる結果になります。
ご自身の暗号資産をコントロールし続けることを覚えておく必要があります。しかし、それは暗号資産を世界から隔離することではなく、計画を立てて、あらゆる角度からセキュリティ面と、緊急時対応のプランを時々見直しておくことです。
暗号通貨のコールドウォレットでの安全な保管
秘密鍵を所有することが、暗号通貨を所有していることになると理解することが重要です。より安全な保管方法は、暗号通貨をコールドウォレットに保管しておくことです。
コールドウォレットをハッキングするのは非常に難しいのですが、パスワードを忘れたり、紛失したりするケースはよくあります。ですので、大量の暗号通貨を安全に保管するために、また、次世代に引き継ぐためには、バックアップと引継ぎプランをしっかり行うことで、このリスクを軽減することができます。
ここで注意したいのは、Recovery Phrase リカバリーフレーズまたは Seed Phrase シードフレーズが非常に重要であるということです。これらにより、仮想通貨ウォレットの中身を復元することができ、もし、コールドウォレットを紛失した場合に、新しいコールドウォレットで暗号通貨を取り戻すことができるようになります。
