老後に備えて、自分年金を準備していますか? 

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現役世代が支払う年金保険料が、引退世代へとすぐに支給される公的年金制度では、支給年齢の引き上げ、その原資ともなる消費税率の引き上げと続き、公的年金制度の今後を危ぶみ、本当に十分な老後資金を公的年金だけでの確保できるのか、という不安を抱える方が多くなっています。

今までの日本の年金制度であれば、公的年金に頼るだけで十分だったかもしれません。しかしながら、少子高齢化により、従来の年金制度だけでは退職後の生活を充実して過ごせるのかは、なんとも言えなくなってきました。充実した老後の生活を過ごすために、これからは公的年金だけではなく、自分自身で準備、運用して増やす「自分年金」が必要となってきています。

自分が支払う年金保険料を、自分名義の口座で運用、そして、運用して増やしたお金を全て自分で使うことが出来る「自分年金」を将来に備えて作る人が増えています。自分年金では、公的年金と異なり、少子高齢化による支給額の減額や年金支給年齢の引き上げといった心配もありません。

老後の安心の為に始める自分年金ですが、出来るものなら、効率よく資産を大きくしていきたいですよね。
一度、日本での運用だけではなく、海外での運用も視野に入れておいても良いかもしれません。

目次

今後が危ぶまれる日本の年金制度

小泉政権時代だった2004年に「100年安心の年金を作る」と言って、給付と負担の見直しを柱とする年金改革が行われました。

その変更内容は、いま働いている世代(現役世代)の保険料を2017年までに渡って段階的に18.3%まで引き上げ、そして、年金支給額を現役世代の収入の6割と従来なっていたのを5割に引き下げる、というものでした。このような負担増や年金減額で、年金制度の破綻を避けることが出来るのであれば、この負担を割り切って受け入れることが出来たかもしれません。

この見通しは、基本的に現役世代が納める保険料と積立金の運用で年金制度を維持する方針となっていますが、その根拠となる経済前提がそもそもおかしく、
運用利回り4.1%、賃金上昇率2.5%といった現実とは乖離した前提条件での将来設計がなされています。現在の運用環境を考えると、どうやって4.1%で運用していくのでしょうか?

やはり、「100年安心の年金プラン」と言っていた2004年から7年後の2011年に「100年安心の年金プラン」は決して安心できるものではなかったことが明らかになります。厚生労働省が作成する社会保障と税の一体改革の原案において、2015年までに消費税率を10%まで引き上げ、70歳~74歳の医療費窓口負担を1割から2割に引き上げ、そして、60歳から65歳に引き上げられた年金支給開始年齢を68歳〜70歳まで、更に引き上げる案を提示してきたのです。

現行制度を維持するままだと、年金の財源悪化が進み、積立金取り崩しが年々行われ、厚生年金が2033年に、国民年金は2037年に積立金が枯渇してしまうという試算となっており、「100年安心の年金プラン」は当初の説明通りとはいかないようです。

年金制度自体が崩壊するといった最悪の事態を避けるため、2004年に年金制度が改正されて以降、国民年金・厚生年金ともに保険料が毎年上がり、受給開始年齢も段階的に引き上げられています。
しかしながら、少子高齢化が進む現状においては、これらの負担増も焼け石に水となりかねません。

年金は現役世代が支払った保険料を年金給付に充てるという方式、つまり世代間扶養で運営されています。では、一体、何人の現役世代で、1人の高齢者を支えているのでしょうか?
1990年では、およそ現役世代5人で、年金受給者1人を支えていました。これが2005年に3人で1人、2012年では2.4人に1人と、段々と少なくなってきています。そして、2025年には現役世代1.8人で高齢者1人を支える見込みとなっています。

このように年金を負担する現役世代が少なくなってきているにも関わらず、今まで通りの年金受給が続けていては、現役世代の負担もとても負担しきれない水準にまで高くなってもしまいます。そうすると、年金受給額の減額や、更なる支給開始年齢の引き上げが今後あっても不思議ではありません。

このような状況下では、公的年金だけでは、リタイヤ後に悠々自適な老後生活を過ごせるのでしょうか?自分の老後は、国任せではなく、自分で守らなければならない時代になってきました。

老後の資金はどれくらい必要?

それでは、老後の生活に必要な資金は一体どれくらい必要なのでしょうか?

(老後の年間支出 − 老後の年間収入) x 老後の年数 という形で計算することが出来ます。
では、計算に必要な各項目を見て行きたいと思います。

【1】老後の年間支出

まず老後にかかる生活費をおさえましょう。総務省の家計調査(2008年)によれば、年金受給世代である高齢者無職世帯は月額23万5132円となっています。
現在の支出から比べると、低い数字になっていると思いますが、老後になれば、子育ても終わっているでしょうから、その分の支出を除いた水準の金額になっているかと思います。

【2】老後の年間収入

老後の主な収入源となる公的年金から得られる収入額を調べてみましょう。公的年金は、毎年誕生月に送付される「ねんきん定期便」を見れば確認することができます。

「ねんきん定期便」には、50歳未満の方では「これまでの加入実績に応じた年金額」、50歳以上の方では「老齢年金の見込額」が記載されています。

50歳未満の方だと、現時点での年金加入歴に応じた年金額ですので、定年まで働くことによってこの金額は増えます。この増える額を反映した年金額に直しておく必要があります。

概算ですが、以下の数式で年金見込額を算出することが出来ます。
( ⅰ ) 2万円 x (60歳 − 現在の年齢)+ 年収見込額 ÷ 12 x 5.481 ÷1000 x 今後の厚生年金加入見込月数
( ⅱ ) ねんきん定期便 に記載された「これまでのこれまでの加入実績に応じた年金額」
この ( ⅰ ) と ( ⅱ ) を合計した金額が、年金の受取見込額になります。

また、「ねんきん定期便」の他にも、日本年金機構「ねんきんネット」に登録すると、年金見込額を試算することもできます。

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しかしながら、現行の年金制度がこのまま維持されるのはまず望めないのではないでしょうか。給付開始年齢の引上げ、支給金額の引き下げなどが将来行われる可能性もあるでしょうから、現状の厚生労働省から出ている金額から、2割〜3割は減額されるくらいで計算しておいてもいいかもしれません。

【3】平均余命

仮に60歳で定年退職してから、果たして何年ほど、老後の生活は続くのでしょうか?
平均余命は男性で83歳、女性の場合は88歳近くまであるとされています。これの数字からすると、20年〜30年も老後の生活が続くことになり、思いのほかに長いなぁ、と思われる方も多いかと思います。
(厚生労働省 平成24年 平均余命)

老後に必要な資金はいくら?

上記の項目で求めた数字から、老後に必要な資金を求めることができます。
(【1】老後の年間支出 − 【2】老後の年間収入) x 【3】老後の年数

「自分年金」として、こらから準備が必要な金額は?

老後に必要な資金 − 退職金 = これから「自分年金」として準備する必要がある金額

長年にわたり会社に勤める方は、退職金を受取ることができるので、その金額を引いておきましょう。

そして、出て来た金額が、老後に備えて、これから準備する必要がある金額です。これから、どのように準備していくのかを考えていきましょう。

「自分年金」の貯め方、増やし方

老後に向けて、今から準備が必要な金額がおおよそ把握できたら、次は、どのように増やしていくのかをみていきましょう。

まずは、必要金額を老後までの年数で割ってみます。40歳の人で老後までに貯める必要がある資金が2,000万円とします。その場合、65歳までの25年間に毎年80万円ずつ貯めなくてはならないことになります。

毎年80万円を貯めるには、月々6万5千円の積立をする必要があります。この金額を見て、どう思われたでしょうか。

住宅ローンや子供の教育費用などを考えるとなかなか腰が引けてしまいますね。しかし、腰がひけると言ったまま、いつまでも始めないでいても、必ず老後は誰にでもやって来ます。しっかりとゴールを見据えて、計画的に毎月少しの金額でも良いので「自分年金」に回す資金を貯めていきましょう。

時間があなたの味方「複利の魔術」

先ほどの例では、25年間で2,000万円貯めるには毎年80万円ずつ貯めなくてはならない、と言いましたが、実はそんなに多くは必要ありません。資金は貯めるだけではなく、貯めると同時に運用することで、増やすことが出来ますからね。

では、運用でどれだけ増やすことが出来るのでしょうか?

利回りが年利1%で、100円運用すると、1年後には利息の1円が足されて、101円になる計算です。
そして、10年後には110円、25年後には125円になります。

しかし、実際には、それ以上の金額になります。
というのは、増えた利息も、次の運用に回すことができるからです。例えば、運用一年後は利息1円を合わせて、101円を次の年に運用することが出来ます。そして、次の年も利息を元本と合わせて運用していくことで、雪だるま式に増やすことが出来るのです。この利息も合わせて運用していく方法は、「複利」での運用と呼びます。

複利での運用の結果、25年後には128円になり、利息の運用を考慮しなかった場合の125円という結果に比べて、3円多くなっています。この例の場合、たった3円ですが、実際に運用する金額は100円ということはないですから、無視出来ない金額となります。
この複利での運用は、時間が長ければ、長い程、雪だるま式に利回りが上昇していきます。
例えば、年利5%で運用できるとして、5、10、15、20年、そして、25年の期間で、100円を運用してみます。各々、運用後、127円、162円、207円、265円、338円となり、1年あたりの利回りに換算すると、5.4%、6.2%、7.1%、8.2%、9.5%となり、期間が長くなるほどに、利回りが良くなって行くのが分かると思います。

このように、「自分年金」は若ければ若いうちに始めると少ない金額で、目標に達成することが出来るのです。

利回りが高い運用を選ぶのが肝要

では、複利で運用して、25年で2,000万円を貯めるには、毎年幾ら必要になるのか、異なる利回りで、改めて計算してみましょう。
年利 1%、3%、5%、10%、15%で計算してみたいと思います。すると、毎年積立が必要となる金額は、70万円、55万円、42万円、20万円、10万円となります。何もせずに積み立てるだけでは毎年80万円必要だったのに、このように、より高い利回りの運用をすることで、必要な積立がより少なくて済むのです。これから、いかに利回りが高い運用をしていくことが肝要かが分かりますね。

年齢とともに、よりリスクが低い運用へ

より高い利回りでの運用と言いましたが、一方、利回りとトレードオフの関係にあるリスクについても注意を払わないといけません。
利回りが変動するリスクも、長い年数で運用するのであれば、蓄積する利回りでカバーすることが出来ます。ですので、40代までの人であれば、高めのリスクを取りつつ、高い利回りの運用を行っても十分問題ないかと言えます。

しかしながら、50代になってくると、定年もそろそろ控えており、運用の期間もそんなに長くはとれません。ですので、利回りが低くても、より低いリスクでの運用に切り替えていく必要があります。

このように、ご自身が許容出来るリスクのレベルに応じた運用を考える必要があります。

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