香港の海外オフショア保険は信託トラスト契約が必要と聞きましたが、どういうことですか?

オフショア保険
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香港で契約申込できる海外オフショア保険は、日本のように、保険会社と直接連絡を取り合って、契約を行うのではなく、IFA (Independent Financial Adviser) と呼ばれる代理店を通して、購入・契約手続きを行います。

しかしながら、近年は、保険申込者はいったん信託契約(トラスト契約)を行い、その上で、契約した信託トラストを通じて、保険契約を行うことも一般的になってきています。

これはどういうことなのか、詳しくみていきましょう。

目次

香港におけるオフショア保険契約形態の変遷

従来における香港でのオフショア保険契約は、保険契約者と保険会社の間をIFAが介在する形が一般的でした。

(A)従来における香港でのオフショア保険契約

保険契約者 ⇔ IFA ⇔ 保険会社

そして、近年における香港のオフショア保険では、保険契約者と保険会社の間に、IFAだけではなく、下記のように信託会社も間に入る形での契約形態も多くあります。

(B)従来における香港でのオフショア保険契約

保険契約者 ⇔ 信託会社 ⇔ IFA ⇔ 保険会社

また、(A)と(B)では、保険証券上の記載事項が下記のように異なります。

(A)保険契約者 ⇔ IFA ⇔ 保険会社 の場合

  • 保険契約者:保険契約者 本人
  • 被保険者:保険契約者 本人 または その配偶者・親族等
  • 保険金受取人:保険契約者の配偶者・親族等

(B)保険契約者 ⇔ 信託会社 ⇔ IFA ⇔ 保険会社 の場合

  • 保険契約者:信託会社
  • 被保険者:保険契約者 本人 または その配偶者・親族等
  • 保険金受取人:信託会社
    (※ 保険契約者・保険金受取人ともに書面上は信託会社となりますが、信託契約を通して、保険契約者・保険金受取人の権利は(A)と同様に、信託契約者 本人、および、指定された受取人 に帰属することになり、実質的には違いはありません)

なぜ信託会社を経由する形となったのか?

以前はIFA経由での直接契約を受け付けていた香港オフショア保険会社ですが、日本居住者のみを対象に、直接契約の受付を終了しました。おそらく保険業法の改正や規制の変更によるものでしょうが、その理由は開示されていないため不明となっています。

これを契機に、日本居住者が香港のオフショア保険を契約する際には、信託会社を経由した手続きで、契約を行うという形態に移行することとなりました。

なお、香港のオフショア保険会社が直接契約を受付けない対象は日本居住者のみであり、香港・中国・シンガポール・マレーシア・タイをはじめとする日本以外の海外に居住する駐在員等の日本人の場合は、従来のように、IFAを通して、香港のオフショア保険会社と直接契約を行うことができます。

信託会社経由でのオフショア保険契約のメリット・デメリット

信託会社経由での保険契約のデメリット

オフショア保険契約を信託会社経由で行うことにより生じるデメリットは次が考えられます。

  1. 信託手数料がかかる可能性
  2. 信託設立に関する必要書類の追加

信託手数料がかかる可能性

まずは、信託手数料がかかる可能性ですが、信託トラスト会社によりその金額は異なり、数百香港ドルから千香港ドル程度と思われます。
また、保険契約を取り持つIFAによっては、信託手数料が一部負担されるケースもあるので、IFAに都度確認されることをお勧めします。

信託契約を延長される場合には、延長する期間に応じて、信託手数料が追加で必要となるケースがあります。このような追加費用のケースを避けるため、多くの場合において、オフショア保険契約時に設立した信託トラストを解約の上、保険の名義を契約者ご本人に変更するケースがほとんどです。

契約するオフショア保険会社やそのプランによりますが、平均して、契約して2年後に保険契約の名義変更を行います。

信託設立に関する必要書類の追加

文字通りなのですが、保険契約の他に、信託設立が必要になるので、信託設立に関する書類が追加で必要となります。
と言いながら、実際にはそんなに大変なことではありませんので安心してください。

信託トラストの設立には、受託してくれる信託会社が香港で必要となります。とはいえ、信託会社を契約者本人が探す必要はなく、IFA会社によっては提携の信託トラスト会社があり、保険契約の流れの中で、信託設立に関しても、フォローしてもらえます。そのため、従来のオフショア保険の契約と同様に、信託会社経由での保険契約であっても、IFA会社にまずは問い合わせすることで問題ありません。

そして、オフショア保険プランを契約する際には、IFA会社にて、申込書類を一式準備してもらって、必要箇所に署名を行います。その書類一式の中に、信託契約を追加されるだけなので、内容を確認して、署名するだけですので、実質的な追加負担はありません。

信託会社経由での保険契約のメリット

次に、オフショア保険契約を信託会社経由で行うことにより生じるメリットを次にあげていきます。

  1. 香港のオフショア保険が契約可能に
  2. 契約時に香港への渡航が不要に
  3. 柔軟な保険設計が可能に

香港のオフショア保険が契約可能に

日本に居住する日本人は、信託会社経由でないと、保険プランを受け付けてもらえないので、メリットととも言い難いのですが、信託会社経由とすることで、香港のオフショア保険会社が提供する有利な資産運用できる保険プランを契約可能になります。

契約時に香港への渡航が不要に

以前の香港のオフショア保険プランであれば、保険契約に際して、契約者本人が香港に渡航し、香港で保険契約に署名を行う必要がありました。しかしながら、信託会社経由での保険契約の場合、郵送での書類申込みも可能となり、香港への渡航が不要となりました。もちろん、香港に渡航して、香港で契約しても良いのですが、渡航が不要となると、時間的な制約や渡航費用の負担軽減にもなり、気軽に香港のオフショア保険プランにも申し込めるようになりました。

柔軟な保険設計が可能に

従来の保険会社との直接契約によるオフショア保険においては、保険金受取人が保険契約者の配偶者・親族等に限定されていました。

一方、信託会社経由での保険契約では、保険契約上の保険金受取人は信託会社となっており、そして、その先の実質的な受取人は、信託契約の定めることとなります。信託契約においては、比較的柔軟に受取人の指定ができるため、従来の保険会社との直接契約では保険金受取人に指定できなかった親族以外の第三者を受取人といった資産継承の柔軟な設計も可能となります。

ご質問やご相談、正規代理店(IFA)選びでお悩みの場合、こちらからお問合せください。

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香港に拠点を構えるFP事務所「カラフル・フィナンシャル・プランニング」です。

在籍するファイナンシャル プランナーは下記資格を有しており、お客様のニーズに沿ったアドバイスをお伝えしております。
・1級ファイナンシャル・プランニング技能士
・CFP(CERTIFIED FINANCIAL PLANNER®:サーティファイド ファイナンシャル プランナー)

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