HSBC香港(The Hongkong and Shanghai Banking Corporation Limited)は、1865年に香港で設立されたHSBCグループの中核銀行です。香港を拠点に、個人向け銀行サービスから資産運用まで幅広い金融サービスを提供しています。
日本においては、代表的な「海外銀行口座」として認知されており、主に次のような目的で活用されています。
- 外貨預金による資産分散
- 海外送金および着金受取
- マルチカレンシー口座による複数通貨の一括管理
- 海外ATMでの現地通貨引き出し
- 香港ドル、米ドル、日本円などの運用
近年、HSBC香港の口座体系やサービス内容は大きく見直されています。以前は「Personal Integrated Account」「HSBC Advance」「HSBC Premier」「HSBC Jade」という区分でしたが、現在は新しいサービス体系へ移行完了しています。
2026年現在、HSBC香港の個人向け銀行サービスは、主に「HSBC One」「HSBC Premier」「HSBC Premier Elite」の3つの区分に分かれています。
特に、2023年12月11日から「HSBC Jade」が「HSBC Premier Elite」に名称変更された点は重要な変更点です。
本記事では、2026年時点の最新情報をもとに、現在提供されている主な3つの区分(HSBC One、HSBC Premier、HSBC Premier Elite)の違いや特徴、選び方について分かりやすく解説します。
対象読者
- HSBC香港での口座開設を検討している方
- HSBC One・Premier・Premier Eliteの違いを正確に把握したい方
- 海外送金や外貨資産の運用・管理を行いたい方
HSBC香港とは
HSBCは1865年に香港で設立された歴史ある銀行で、正式名称は「The Hongkong and Shanghai Banking Corporation Limited」です。世界有数の金融グループであるHSBCグループの発祥の地であり、アジアにおける中核拠点として機能しています。
香港現地では給与受取口座や決済口座、資産運用口座として広く普及しており、香港では個人向け銀行サービスから資産運用まで幅広い金融サービスを提供しています。
マルチカレンシー口座の構造と特徴
日本の一般的な銀行口座と異なり、HSBC香港の口座は「1つの口座番号で複数の通貨を同時に管理できる」マルチカレンシー機能が標準装備されています。
管理可能な通貨として、以下の12 通貨をHSBCでは案内しています。
- 香港ドル(HKD)
- 米ドル(USD)
- 日本円(JPY)
- ユーロ(EUR)
- 英ポンド(GBP)
- 豪ドル(AUD)
- カナダドル(CAD)
- シンガポールドル(SGD)
- 人民元(RMB)
- ニュージーランドドル(NZD)
- スイスフラン(CHF)
- タイバーツ(THB)
口座内で通貨間の両替が完結するため、為替状況に応じた資金移動や、海外取引における通貨の打ち分けをスムーズに行うことが可能です。
現在の口座ラインアップ(2026年最新)
2026年現在、HSBC香港の個人向け総合口座は主に以下の3つのカテゴリー(Tier)に分類されています。
| 区分 | 主な対象 |
|---|---|
| HSBC One | 一般的な個人利用 |
| HSBC Premier | 総合取引残高 (TRB) HKD100万以上の顧客 |
| HSBC Premier Elite | 総合取引残高 (TRB) HKD780万以上の顧客 |
かつて提供されていた「HSBC Advance」は新規受付を終了しており、その機能は標準口座である「HSBC One」へ統合・継承されました。また、「HSBC Jade」は「HSBC Premier Elite」にブランド名が変更されています。
インターネット上の古い情報では旧名称が残っている場合もありますが、現在の手数料規定および公式案内では「Premier Elite」が正式名称として使用されています。
| 比較項目 | HSBC One | HSBC Premier | HSBC Premier Elite |
|---|---|---|---|
| 位置付け | 標準的な個人向けサービス | 上位の銀行サービス | 最上位のウェルスサービス |
| 基本TRB条件 | HKID保有者:なし 新規非HKID:HKD10,000 | HKD1,000,000 | HKD7,800,000 |
| BBF | 新規非HKID:HKD100/月※ | HKD380/月 | ― |
| 外貨管理 | ○ | ○ | ○ |
| Global Transfer | ○ | ○ | ○ |
| Premierステータス | ― | ○ | ○ |
| RM等 | 一般サポート | Premier Relationship Manager等 | Premier Elite Director、Wealth Planner等 |
| 専用拠点 | ― | Premier Centre | Premier Elite Wealth Centre |
| 資産運用・ウェルスサービス | 基本的なサービス | 充実したサービス | 高度なウェルスサービス |
HSBC Oneの特徴と位置づけ
HSBC One は、現在のHSBC香港における標準的な個人向け口座です。
かつて設定されていた最低総合取引残高 (TRB)の条件が見直され、現在はHKID保有者について最低総合取引残高 (TRB)が設定されていません。
ただし、2026年1月1日以降にHSBC Oneを開設した香港IDの非保有者には、
- 最低総合取引残高 (TRB):HKD10,000
- TRBが条件を満たさない場合:月額HKD100の残高不足手数料 (BBF)
- 3か月間の平均総合取引残高(TRB)がHKD10,000以上であれば、残高不足手数料 (BBF)は免除されます。
という条件が2026年から適用されています。
- 総合取引残高(Total Relationship Balance:TRB)
- 残高不足手数料 (Below Balance Fee:BBF)
一方、
- HKID保有者
- 2026年1月1日より前に開設した非HKID保有者
については、最低総合取引残高 (TRB)・残高不足手数料 (BBF)はありません。
また、一部の非HKID保有者については、口座開設後6か月間、送金および現金引き出しの限度額が通常より低く設定される場合があります。海外送金などでHSBC Oneを利用する予定がある場合は、あらかじめ確認しておきましょう。
主な機能とメリット
- マルチカレンシー対応:主要外貨の一元管理が可能
- デジタルバンキング:HSBC HK Mobile Bankingアプリおよびインターネットバンキングの利用
- HSBC Global Transfer:海外のHSBC口座への手数料無料の送金に対応
- 外貨預金・為替取引:アプリ上でのリアルタイム両替
- デビットカード機能:HSBC Mastercard Debit Card を利用して、海外での決済やATM利用が可能
日常的な決済、定期的な海外送金、外貨の保有といった用途であれば、HSBC Oneの機能で十分に対応可能です。HSBC Global Transferでは、自分自身の海外HSBC口座だけでなく、家族・友人のHSBC口座への送金にも対応しています。また、2026年7月5日からは、自分自身の海外HSBC口座へのGlobal Transferについて、従来設定されていたUSD200,000の1日上限が撤廃されました。
HSBC Advanceからの移行経緯
過去に提供されていた中位グレードの「HSBC Advance」は、サービス体系の簡素化に伴い新規受付が停止されました。HSBC Advanceは2020年10月からHSBC Oneへの移行が開始され、現在はHSBC Oneが後継の統合口座となっています。
HSBC Premierの特徴と利用条件
HSBC Premierは、一定以上の預入資産を持つ顧客を対象とした優遇口座です。国際的な資金移動や資産管理を頻繁に行う利用者に向けた各種サービスが用意されています。
機能と優先サービス
- 専任リレーションシップマネージャー(RM):資産運用や手続きに関する Premier Relationship Manager / Relationship Officer によるサポート
- 優先窓口の利用:店舗での待ち時間を短縮する専用カウンターの利用
- 外貨現金扱いの優遇:店頭での外貨現金預入・引出における無料枠の拡大
- 送金手数料の優遇:SWIFT送金時の手数料割引や優遇レートの適用
- グローバルステータス:他国のHSBCでPremier口座を開設する際、ステータスを共有可能
口座維持条件と注意点
HSBC Premierのステータスを維持するには、HSBC香港における総合取引残高(Total Relationship Balance:TRB)を一定基準以上に保つ必要があります。
TRBには、
- 預金
- 投資
- 保険
- 一部の退職関連資産
- 利用済み融資
などが含まれます。
| 項目 | HSBC One | HSBC Premier | HSBC Premier Elite |
|---|---|---|---|
| 基本総合取引残高(Total Relationship Balance:TRB)条件 | HKD0※ | HKD1,000,000 | HKD7,800,000 |
| 残高不足手数料 (Below Balance Fee:BBF) | HKD100※ | HKD380 | |
| 主な対象 | 一般利用 | 富裕層・資産形成 | より高い資産規模 |
HSBC Premierでは、TRBがHKD1,000,000を下回ると、原則として月額HKD380のBelow Balance Fee(残高不足手数料)が発生します。ただし、新規Premier顧客には6か月間のBelow Balance Fee免除が適用される場合があります。適用条件は申込時期やキャンペーンによって異なるため、最新の公式条件を確認してください。
※2026年1月1日以降に開設した非HKID保有者。3か月連続で平均TRB HKD10,000以上を維持した場合は免除。
HSBC Premier Eliteの特徴(旧HSBC Jade)
HSBC Premier Eliteは、HSBC香港における個人向け最高峰のサービス体系です。特に、2023年12月11日から「HSBC Jade」が「HSBC Premier Elite」に名称変更された点は重要な変更点です。
主なサービス内容
- 専属リレーションシップマネージャー:Premier Elite Director、Wealth Planner などの専門チームによる手厚いサポート
- 高度なウェルスマネジメントや資産承継に関するサービス:限定された金融商品の案内
- 外貨現金手数料の最大優遇:店頭取引における高い無料枠設定
- Premier Elite Wealth Centreなどの専用ウェルス拠点およびコンシェルジュサービス:特定の拠点で提供される専用空間の利用
利用条件と対象者
Premier Elite は総合取引残高(TRB)780万香港ドル以上が設定されています。ここでいう780万香港ドルは預金残高だけではなく、預金・投資商品・一部の保険・MPFなどを含む総合取引残高(TRB)です。一般的な日常利用を超え、国際的な資産承継や大規模な外貨運用を目的とする層に向けた区分となっています。
3つの口座タイプの詳細比較
それぞれの口座タイプの主要項目を比較した一覧は以下のとおりです。
| 比較項目 | HSBC One | HSBC Premier | HSBC Premier Elite |
|---|---|---|---|
| 主な用途 | 日常利用・基本の海外送金 | 資産形成・外貨活用 | 高額資産運用・プライベート機能 |
| 専任RM | なし | あり(チーム対応含む) | 専属RM |
| 店舗・拠点での優先対応 | なし | Premier Centre | Premier Elite Wealth Centre |
| 外貨現金無料枠 | 標準設定 | 拡大設定 | 最上位設定 |
| 他国HSBC連携 | 基本機能のみ | ステータス共有可能 | ステータス共有可能 |
| 残高不足手数料 | HKID:なし 新規非HKID:HKD100/月※ | 条件未達時に発生 |
※2026年1月1日以降に開設した非HKID保有者。3か月連続で平均TRB HKD10,000以上を維持した場合は免除。
どの口座を選ぶべきか?目的別の選び方
ご自身の利用目的や準備できる資金規模に応じて、適切な口座タイプを選択することが重要です。
HSBC One:まずHSBC香港を使い始めたい人
- 日常的な銀行利用
- 外貨の保管やインターネットバンキング経由の海外送金が中心
- 投資・定期預金
- 専任担当者による対面サポートを必要としていない
- HKD10,000程度のTRBを維持できる非HKID新規開設者
バランスに優れており、大半の個人ユーザーにとって最も扱いやすい選択肢です。
HSBC Premierが適している人
- HSBC香港に一定規模以上の資金を預け入れる予定がある
- 海外送金や外貨現金の出し入れを頻繁に行う
- 店舗での手続き時に優先的な対応を受けたい
- 他の国や地域のHSBC口座ともステータスを連携させたい
一定の資産基準を満たせる場合、手数料割引や優遇サービスによる実質的なメリットが得られます。
HSBC Premier Eliteが適している人
- 高度な資産運用
- 資産承継
- 専門チーム
- Wealth Centre
- より充実した手数料優遇
高額資産の運用や資産承継について、より専門的なサポートを求める人に適したサービスです。
まとめ
HSBC香港の個人向け口座に関するポイントをまとめます。
- 現在の主要口座は「HSBC One」「HSBC Premier」「HSBC Premier Elite」の3種類。
- 「HSBC Jade」は「HSBC Premier Elite」に名称が変更されている。
- 一般的な海外送金や外貨管理であれば、「HSBC One」で必要十分な機能が揃います。
- 資産規模や優遇サービスのニーズに応じて「Premier」や「Premier Elite」を検討する。
- 1つの口座で複数通貨を管理できるマルチカレンシー機能が大きな特徴。

