米国株のセルインメイとは?5月に売る理由と新NISAでの対策

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「最近、米国株を始めたけれど、5月になると株価が下がるって本当?」

「新NISAで積立をしているけど、5月は一度ストップしたほうがいいの?」

投資を始めると、必ず一度は耳にするのが「セル・イン・メイ(Sell in May)」という言葉です。直訳すると「5月に売れ」。なんだか不穏な響きですよね。

しかし、プロの投資家たちがこの言葉を口にするのには、単なる迷信ではなく、過去データから語られてきた「季節的な傾向」があります。今回は、5月からの相場をどう乗り切ればよいのか、やさしく解説していきます。


目次

1分でわかる!「セル・イン・メイ」の意味と由来

まずは、この言葉の正体を正しく知ることから始めましょう。「5月に売れ」という言葉だけが独り歩きしていますが、実はこの格言には続きがあります。

「5月に売って、9月まで戻ってくるな」

正確には、“Sell in May and go away, and come back on St. Leger’s Day.”(5月に売って立ち去れ、そしてセント・レジャー・デーまで戻ってくるな)という一文です。セント・レジャー・デーとは、イギリスで9月中旬に行われる伝統的な競馬大会のこと。

これは「5月に売って秋まで戻るな」という格言で、統計分析では『11月〜4月』と『5月〜10月』の比較として扱われることが多いです。

つまり、「5月から10月にかけては、冬場に比べて株価が上がりにくい傾向(アノマリー)があるから、夏場は無理に積極売買をせず、様子を見る」という教えなのです。

決して「暴落」を予言するものではない

勘違いしてはいけないのが、「5月になった瞬間に株が暴落する」という意味ではないということ。あくまで「過去のデータを振り返ると、この時期はパフォーマンスがさえないことが多いよね」という経験則にすぎません。

現代でも「プロの投資家が休みに入る時期は、相場が盛り上がりにくい」という教訓として、世界中の投資家に意識されています。


なぜ5月?株価が夏に「夏バテ」する3つの理由

なぜ、令和の時代になっても「夏場は株価がさえない」と言われるのでしょうか。それには現代の投資環境における3つの「夏バテ理由」があります。

理由①:プロの投資家が休みに入る

投資の世界で大きなお金を動かしているのは、銀行やヘッジファンドなどの「機関投資家」と呼ばれるプロたちです。彼らも人間ですから、欧米では夏に2週間〜1ヶ月といった長期休暇を取るのが一般的です。

夏季休暇シーズンになると、市場参加者が減少しやすいとも言われています。取引量が少ないと、少しの売り注文でも株価が大きく動きやすくなり、不安定な相場(ボラティリティが高い状態)になりやすいのです。

理由②:決算スケジュールの一区切り

米国企業の多くは12月決算です。4月頃には第1四半期(1月〜3月期)の決算発表が出揃います。良いニュースも悪いニュースも一旦出し尽くされ、「次の材料が出るまで様子を見よう」というムードが5月以降に広がりやすくなります。これを専門用語で「材料出尽くし」と言ったりします。

理由③:資金の流入が一段落する

米国では、年初から4月にかけては「買い」の圧力が強まる時期です。

  • 年末の節税対策後の買い戻し
  • 春の税金還付(日本でいう確定申告の戻り金)による臨時収入
  • 新年度の投資枠の活用

こうした「投資に回るお金」が一段落するのが5月。投資資金の流入が一巡しやすい時期、とイメージすると分かりやすいでしょう。


【データで比較】本当に5月に売ったほうが得なの?

「格言は分かったけど、本当に数字として現れているの?」と疑問に思う方もいるでしょう。過去の米国株(主要な指数であるS&P500など)のデータを長期間で分析すると、一定の傾向が見られます。

過去の成績表:冬と夏のパフォーマンス差

多くの統計データが示すのは、以下のような傾向です。

投資期間パフォーマンス(上昇率)特徴
11月〜4月(冬から春)高い資金流入が多く、株価が伸びやすい
5月〜10月(夏から秋)低い取引が細り、平均リターンが相対的に低くなる傾向がある

実際に過去データを振り返ると、過去数十年の平均を見ると「11月〜4月の半年間だけ投資をして、残りの半分は現金で持っていた方が、ずっと持ち続けるよりも効率が良かった」という時期も実際にありました。

ただし「絶対」ではない

もちろん、毎年必ずこうなるわけではありません。

  • 2020年のようにコロナショック後の回復期で夏場も大きく上昇した年
  • 大統領選挙の年で、夏場に期待感が高まる年
  • 革新的な技術(AIなど)で相場が熱狂している年

過去のアノマリーや統計データは、将来の値動きを保証するものではありません。
こうした例外は多々あります。データはあくまで「過去の傾向」として捉えるのがスマートな投資家です。


初心者が迷ったらこれ!「セル・イン・メイ」への向き合い方

格言を知ってしまうと、「今すぐ売らなきゃ!」と焦ってしまうかもしれませんが、落ち着いてください。あなたの投資スタイルによって、取るべき行動は180度変わります。

長期つみたて投資(新NISAなど)の人は、過度に意識しなくてもOK

もしあなたが新NISAなどで「全世界株(オルカン)」や「米国株(S&P500)」を毎月コツコツ積み立てているなら、長期積立投資においては、セル・イン・メイなどの短期的なアノマリーを重視しすぎない考え方が一般的です。

【理由】

  1. 買い時を逃すリスク: 5月に売って、10月に買い戻そうとしたら、その間に株価が上がってしまった……。長期投資では、大きな上昇局面を逃してしまう可能性があります。
  2. 手数料と税金の無駄: 売買を繰り返すと手数料がかかりますし、利益が出れば税金も引かれます(特定口座の場合)。
  3. 複利の効果: 積立投資の強みは「長く持ち続けること」による複利効果です。目先の小さな波で船を降りるのは、長期的にはマイナスになりやすいのです。

初心者は、短期的な値動きに振り回されず、淡々と積立を続ける考え方が一般的です。

個別株で利益が出ている人は「一部利確」を検討

一方で、アップルやエヌビディアといった「個別株」に投資していて、すでに20%〜30%の利益が出ているような場合は、「一部だけ売って現金(キャッシュ)を増やす」のはリスク管理の一例として考えられます。

これを「利益確定(利確)」と呼びます。夏場に株価が調整して安くなったタイミングで、手元に現金があれば、再び安値で買い増すチャンスが生まれるからです。

次のチャンスは「ハロウィン(10月末)」にやってくる

5月に売った投資家たちが「そろそろ株を買おうかな」と戻ってくるのが10月末、ちょうどハロウィンの時期です。

過去データでは、「ハロウィンに買い、翌年の5月に売る」戦略のパフォーマンスが高かった時期もあります。今無理に動かなくても、「秋には絶好のバーゲンセールが来るかもしれない」と心の準備をしておくだけで、夏場の停滞相場でもイライラせずに過ごせます。


2026年、今年特有の注意点

ここまでは一般的な話ですが、2026年現在の状況に合わせた「天気予報」を確認しておきましょう。今年は例年以上に注意すべきポイントが2つあります。

① 2026年の金利動向に注意

今の米国経済は、かつての「ゼロ金利時代」とは異なります。金利とはいわば、相場にとっての「向かい風」か「追い風」かです。

  • 利上げ(向かい風): 株価が上がりにくくなる
  • 利下げ(追い風): 株価が上がりやすくなる

2026年は、インフレが落ち着き「いつ利下げが始まるか」に注目が集まっている時期です。もし5月や6月に「利下げ」の決定があれば、季節性より金融政策への注目が強まり、相場が上昇基調になる可能性があります。格言はあくまで「過去の平均」であり、今の経済の気温(金利)をチェックすることが大切です。

② 「円安・円高」の影響をプラス

私たち日本の投資家にとって、米国株投資は「株価 × 為替」の掛け算です。

一部では季節的な円高傾向を指摘する声もありますが、実際の為替相場は金利差や金融政策の影響が大きく、季節性だけで説明できるものではありません。

  • ダブルパンチのリスク: 「米国株が下がる」+「円高になる」が同時に起きると、日本円での資産評価額は大きく目減りします。

逆に言えば、もし夏場に円高が進んでくれたら、日本円で米国株を安く買えるチャンスでもあります。「下がったら怖い」ではなく「安く買えるチャンスが来るかも」とポジティブに捉えましょう。


まとめ:格言は「お守り」程度に持っておこう

「セル・イン・メイ」は、長い投資の歴史の中で多くの投資家が経験してきた「季節の知恵」です。しかし、相場に「絶対」はありません。

最後に、初心者が失敗しないための3つのルールをまとめます。

  1. つみたて投資は止めない: 目先の格言よりも、10年後の資産増を優先する。
  2. 現金余力を確保する: 全部を株に回さず、夏場の安売り(調整)が来た時に買える現金を少し持っておく。
  3. 情報に振り回されない: 「5月だから暴落する!」という煽り記事を見ても、「ああ、いつものアノマリーね」と受け流す余裕を持つ。

投資において注意したいのは、は、格言に振り回されて「自分の投資スタイルを崩してしまうこと」です。「5月は少し相場が静かになる時期なんだな」と、お守り程度にこの言葉を胸に留め、ゆったりとした気持ちで資産を育てていきましょう。

※ アノマリーに関する統計は、S&P500の過去データや『Stock Trader’s Almanac』などを参考にしています。
※ 投資判断は、最終的には自身のリスク許容度や投資目的に応じて行うことが大切です。

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