海外旅行に出るに際して、現地の通信環境をどのように確保するかは非常に重要な課題です。近年はeSIMや現地のプリペイドSIMの普及により、海外でのデータ通信自体は容易になりました。しかし、海外で生活しながら仕事をするノマドワーカーや長期滞在者となると、日本の電話番号を維持し、仕事の連絡や二段階認証のSMSを受け取りを必要となる場面も少なくなくありません。コストを抑えつつ、これらの条件を満たすには、どの日本の回線キャリアを選ぶのが正解となるのでしょうか?
その中でも、楽天モバイルは追加料金なしで海外ローミングが使える点から選ばれています。一方で、データ容量の制約や通話アプリの仕様による注意点もあります。この記事では、2026年最新の仕様をもとに、楽天モバイルの海外での料金・容量の仕組みを解説し、他社プランとの比較を通じて、どのモバイル回線キャリアが最適かを探っていきます。
結論|海外利用ならこの3パターンがおすすめ
| 利用スタイル | おすすめ |
|---|---|
| 1週間程度の海外旅行 | 楽天モバイル単独 |
| 15日以内・大容量通信 | ahamo |
| 長期滞在・海外ノマド | 楽天モバイル+現地eSIM(またはpovo2.0) |
楽天モバイルは、日本の電話番号を維持したまま海外でもSMS認証や通話を使いたい人に特に相性が良いサービスです。一方、海外データ通信は毎月2GBまでという制限があるため、大容量通信が必要な場合は現地eSIMとの併用が現実的です。
楽天モバイルの海外データ通信(国際ローミング)の基本仕様と最新状況
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 海外ローミング | 107の国・地域 |
| 無料データ | 毎月2GB |
| 超過後 | 128kbps |
| 追加チャージ | 1GB 500円 |
| 日本への通話 | Rakuten Link利用で無料 |
| SMS認証受信 | 利用可能 |
① 面倒な手続き不要!国内プランと完全統合された「2GB無料枠」
楽天モバイルの基本料金プランである「Rakuten最強プラン」は、毎月のデータ利用量に応じて料金が段階的に変動するワンプラン構成です。月間のデータ利用量が3GB以下であれば月額1,078円(税込)、3GBを超え20GBまでは月額2,178円(税込)、20GBを超えた後は国内データが無制限となり月額3,278円(税込)となります。
このプランの特徴は、海外でのデータ通信仕様が最初から基本料金の中に組み込まれている点です。海外への渡航にあたり、事前の申し込みや専用アプリでの利用開始手続き、追加料金の支払いは必要ありません。現地に到着した後、スマートフォンスマートフォンの設定画面で「データローミング」をONにするだけで、そのままデータ通信を開始することができます。
割り当てられている海外データ容量は毎月2GBまでとなっており、この2GB分は国内の段階制料金のデータ消費量に合算されます。たとえば、国内で1GB消費し、海外で1GB消費した場合、合計2GBの利用となるため月額1,078円(税込)の枠内に収まります。海外で2GBを使い切った後は、通信速度が最大128kbpsに制限されます。128kbpsの速度では、Webサイトの閲覧や動画の視聴は困難になりますが、テキスト中心のチャットツールでのメッセージ送受信は継続して利用可能です。もし高速通信を再開したい場合は、専用アプリ「my 楽天モバイル」から1GBあたり500円(非課税)でデータ容量を追加チャージすることができます。
② 世界107の国・地域&主要国際線の「機内通信」にも対応拡大
楽天モバイルの海外ローミングが利用できるエリアは順次拡大しており、2026年4月にはウルグアイが新たに対象国として追加されました。これにより、世界107の国と地域で海外ローミングが利用可能となっています。アジアの主要国をはじめ、北米、欧州、オセアニア、さらには中南米やアフリカの一部地域まで網羅しているため、世界中を旅行しても、主要な滞在先をカバーしています。
また、地上での通信だけでなく、移動中の航空機内における通信環境も提供されています。シンガポール航空やエミレーツ航空など、主要な国際線の機内において「国際線機内ローミング」に対応しています。これまで、長時間のフライト中に外部と連絡を取るためには、各航空会社が提供する機内Wi-Fiプランを個別に有料契約する必要がありました。しかし、楽天モバイルの対応機種を所有していれば、上空の巡航中でも機内Wi-Fiを別途契約することなく、毎月の2GBの枠を利用してデータ通信を行うことができます。これにより、移動中の機内からクライアントへ進捗を報告したり、テキストベースの業務連絡を行ったりすることが可能となり、移動の多いノマドワーカーの仕事の連続性を担保する環境が整っています。
③ 【注意】データ専用プランにおける国際機能の制限(2026年2月以降の仕様)
楽天モバイルには、本人確認の手続きを簡素化し、eSIM等で即時発行ができる「データ専用プラン(Rakuten最強プラン データタイプ)」が用意されています。しかし、海外での利用を想定している場合は、このプランの仕様変更に注意が必要です。2026年2月に実施された仕様変更にともない、データ専用プランの契約者に対する国際ローミング機能(海外データ通信および国際音声通話・SMS)の提供に制限が設けられました。
現在、海外で追加料金なしの2GBデータ通信枠や、後述する通話アプリ「Rakuten Link」による無料通話機能を利用できるのは、通常の「音声通話付きプラン(Rakuten最強プラン)」の契約者に限られます。データ専用プランを契約している状態で海外に渡航した場合、現地の電波を使ったローミング通信は利用できなくなります。そのため、海外旅行や長期滞在の予定があり、楽天モバイルを海外で活用したいと考えている場合は、必ず渡航前に音声通話付きプランへの変更手続きを完了させておく、あるいは新規契約の段階で音声通話付きプランを選択しておく必要があります。
海外通話を無料化する「Rakuten Link」の仕組みと落とし穴
① Rakuten Linkなら海外から日本への通話が無料
海外長期滞在者や海外滞在ノマドワーカーにとって、日本のクライアントや役所、金融機関などと音声通話を行う際のコストは無視できない問題です。楽天モバイルでは、専用のコミュニケーションアプリ「Rakuten Link」を使用することで、海外の滞在先から日本国内の電話番号(固定電話・携帯電話)への発信、および日本からの着信を無料で利用することができます。また、日本宛ての国際SMSの送受信についても費用がかかりません。
② OS標準アプリ利用は厳禁!最大1,000円に達するSMS高額課金の罠
Rakuten Linkによる通話やSMSの無料化は有効な仕組みですが、操作を誤ると高額な請求が発生するリスクが存在します。最も注意すべき点は、スマートフォンに最初から搭載されている「OS標準の電話アプリ」や「メッセージアプリ」を使って通信を行ってしまうことです。
海外にいる状態でOS標準のアプリを使って日本や現地の電話番号に発信したり、かかってきた電話に出たりすると、国ごとに設定された国際ローミング通話料が1分単位で従量課金されます。特に高額になりやすいのがSMSの送信です。OS標準のメッセージアプリを使用して海外から日本へSMSを送信する場合、全角最大670文字の送信1回あたり最大1,000円に達する課金が発生する事例もあります。
さらに、AndroidとiOS(iPhone)の間でアプリの挙動が異なる点にも注意が必要です。iOSの場合、相手がRakuten Linkを利用していない一般の電話回線から電話をかけてきた際、着信はRakuten LinkアプリではなくOS標準の電話アプリに入ります。この着信履歴に対して画面の履歴からそのまま折り返し発信を行ってしまうと、OS標準アプリでの発信となるため、無料ではなく有料の国際ローミング通話になります。海外での発信時は、必ず一度ホーム画面に戻り、意識してRakuten Linkアプリを起動してから操作を行うことを徹底する必要があります。
【徹底比較】楽天モバイル vs 主要キャリア・格安SIMの海外プラン
海外留学生や海外ワーケーション利用者・長期滞在者が利用するモバイル回線として、楽天モバイルと主要な競合キャリア・格安SIMのプランには、料金構造や利用制限の面で大きな違いがあります。それぞれの特徴とリスクを以下の表にまとめました。
| サービス名 | 海外パケット | 追加コスト | 最大の制約事項・ルール | 音声通話の海外対応 | 適合する渡航スタイル |
| 楽天モバイル | 2GBまで無料 | 以降500円/1GB | 超過後は128kbpsの通信速度制限 | Link利用で日本宛て発着信が完全無料 | コスト最小限のサブ回線・長期滞在の通話維持 |
| ahamo | 30GBまで無料 | 以降550円/1GB | 海外利用開始から15日で128kbps固定(解除不可) | 従量課金(着信時も課金) | 15日以内の短期〜中期渡航・現地での大容量通信 |
| povo2.0 | トッピング購入制 | 未購入時はデータ接続不可(完全遮断) | トッピングの有効期限切れで通信停止 | 従量課金 | 必要な期間だけ都度購入・主回線の補完 |
| LINEMO | 24時間980円/3GB(海外あんしん定額) | 「定額国S」接続時の高額請求リスク | 対象外エリアでの従量課金が非常に高額 | 従量課金 | ソフトバンク網の安心感重視・LINE中心の利用 |
| au海外放題 | 24時間使い放題(予約割800円〜1,000円) | 特になし(基本料金に合算) | 大量通信時に一時的な速度制限の可能性 | 従量課金 | 容量を気にせずテザリングしたい高品質志向 |
① ahamo:30GBの圧倒的大容量と帰国まで解除できない「15日制限の壁」
ahamoは、追加料金の支払いなしに、月間の基本データ容量である30GBをそのまま海外ローミングで利用できる点がメリットです。特別な手続きも不要で、現地に到着してデータローミングをONにするだけで大容量の通信が確保できます。
しかし、海外長期滞在者やノマドワーカーにとって注意すべきなのが「15日制限」の存在です。海外で最初にデータ通信を行った日から数えて15日を経過すると、それまでに消費したデータ量が30GB未満であっても、通信速度が最大128kbpsへと強制的に制限されます。この制限の厳しい点は、追加料金を支払ってデータをチャージしても、日本国内に戻ってドコモのネットワークで通信を行うまでは制限を解除できない仕組みになっていることです。そのため、2週間を超える長期の滞在や、拠点を移しながら活動するノマドワークにおいては、滞在の後半に通信が実質的に使えなくなるリスクがあるため、単独での長期運用には適していません。
② povo2.0:基本料0円と2026年7月登場「1.32TBトッピング」
povo2.0は月額の基本料金が0円に設定されており、ユーザーが必要なデータ容量や有効期限を「トッピング」として都度購入するシステムです。海外での利用に関しても、渡航先に合わせた海外データトッピングをアプリ上で選択して購入します。トッピングを購入していない状態ではデータ接続が完全に遮断されるため、バックグラウンドでのアプリ通信による意図しない高額請求(パケ死)が構造的に発生しない安心感があります。
さらに、2026年6月には国内向けとして「1.32TB(365日間)」という大容量の一括トッピングが登場しました。これは料金が3万9,240円(税込)で、1ヶ月あたり約110GBを3,270円相当で利用できるものです。これにより、国内ではpovo2.0をメインの大容量回線として使いつつ、海外滞在中は基本料金の発生を抑え、必要に応じて海外トッピングや現地SIMを追加するという、国内・海外の補完戦略を組み立てやすくなっています。ただし、180日間以上有料トッピングの購入がない場合は利用停止になる要件があるため、定期的な維持コストの管理が必要です。
③ LINEMO:利便性の高い「海外あんしん定額」と隣国で潜むパケ死の罠
LINEMOでは、対象国において24時間あたり980円で3GBの高速通信が使える「海外あんしん定額」を提供しています。利用したいタイミングでアプリから時間を指定して購入するタイプのため、使いすぎを防ぎやすい仕様となっています。
ただし、注意点は、定額対象外となる地域や「定額国S」と呼ばれる特定の国・地域においてデータ通信を行った場合のリスクです。これらのエリアでは定額プランが適用されず、10MBの通信で19,600円に達するような、従量制による高額請求が発生する可能性があります。特にヨーロッパや東南アジアなど、陸路で国境を越えられる地域において、国境付近の都市に滞在している際にスマートフォンが自動的に隣国の電波を拾ってしまい、知らないうちに対象外エリアでのデータ通信が行われる事例があります。ネットワークの選択設定を手動にするなどの管理を怠ると、予期せぬ請求リスクに直面することになります。
④ au海外放題:テザリングも無制限!短期渡航で最強の使い放題
au海外放題は、事前の予約を行うことで、24時間あたり800円〜1,000円の定額料金でデータ通信が完全に使い放題になるプランです。メリットは、データ容量の制限がなく、PCやタブレットを接続するテザリングについても制限なしで利用できる点です。
短期の視察出張や移動において、現地のWi-Fi環境が不安定な場合でも、スマートフォン経由で高画質な動画のやり取りやウェブ会議を行う必要があるビジネスパーソンに適した仕組みです。ただし、短期間に極端に大量の通信を行った場合には、ネットワーク混雑回避のためのデータ制限がかかる可能性がある点、および日数が長くなるほど定額料金が累積していくため、長期滞在になればなるほどコスト負担が大きくなるというデメリットがあります。
【結論】タイプ別で選ぶ3つの海外モバイル回線
① 【短期・ミニマム志向】ホテルのWi-Fiを併用する「楽天モバイルのみ」
渡航期間が1週間以内の短期滞在であり、現地での主な通信目的が地図アプリの確認、テキストによるメッセージ交換、配車アプリの利用といった最小限のものである場合、楽天モバイルの単独運用が適しています。
毎月付与される2GBの無料枠の範囲内で移動中の通信をまかない、データ消費量の多い動画視聴や仕事のデータ同期などはホテルの無料Wi-Fiやコワーキングスペースの回線接続時にまとめて行うという運用方法です。これにより、通信にかかる追加コストを抑えながら、現地での行動に必要な最低限の通信環境を維持することができます。
② 【中期・大容量志向】15日以内の渡航でデータ命なら「ahamo単独一択」
滞在期間が15日以内のスケジュールであり、コワーキングスペースの外でもデータ残量を気にすることなくテザリングを行ったり、高画質画像の送受信を行ったりしたい場合は、ahamoの単独運用が選択肢となります。
15日という制限の期間内でおさまる旅程であれば、追加料金なしで30GBという大容量をそのまま利用できるため、現地のeSIMを別途購入する手間や、データチャージの手続きをするストレスを減らすことができます。通信量と手軽さを重視する場合に適した選択肢と言えます。
③ 【長期・ビジネス周遊志向】「楽天モバイル×povo2.0 / 現地eSIM」のデュアルSIM
15日を超える長期の滞在や、複数の国をまたいで移動する海外ノマドにとっての推奨モデルは、複数の回線を同時に1台の端末で運用する「デュアルSIMハイブリッド戦略」です。
具体的には、楽天モバイルを「音声通話および海外2GBの維持用」として機能させます。Rakuten Linkを使用することで、長期滞在であっても日本からの重要な電話の着信や、日本のクライアントへの発信コストを無料に保つことができます。その一方で、海外での大容量通信には、現地で安価に購入できるデータ専用eSIMや、ローカルのプリペイドSIMを割り当てます。
また、国内市場における通信環境の変化に対応するため、基本料0円から運用できるpovo2.0(2026年6月に登場した1.32TBトッピングなどを活用)をもう一つのスロットに設定しておくことで、日本国内における回線の冗長化(バックアップ回線の確保)としても機能します。近年、国内市場ではauのパートナーエリア縮小といった変化が生じていますが、楽天モバイルの自社回線エリアの拡大とpovo2.0(KDDI回線)の組み合わせは、国内における通信の安定性を高める上でも有効です。この体制を構築することで、海外では高額請求のリスクを排除した安価なデータ通信と無料の音声通話環境を両立し、国内でも安定したマルチネットワーク環境を維持することが可能になります。

